アメリカでのビザ事情

ビザ

日本で大学を卒業後、2012年に大学院に進学するためにアメリカにやってきました。アメリカでは、大学院卒業、ポスドク、企業就職と、色々と環境が変わるたびにビザの心配をしなくてはいけません。ここでは、今までの8年間、どんなビザを使ってきたか、どうやって申請したかを簡単にまとめてみたいと思います。

F1

まずはF1ビザ。これは学生ビザですね。大学院に合格してから、一番最初に日本で申請してアメリカに入国した際のビザがこれです。申請方法に関してはこちらに詳しく記載されているので、参考にしてみてください。記憶が曖昧ですが、たぶん大学院から合格通知をもらって、進学することを決めた旨を伝えてから、I-20が日本の住所に郵送されてきた気がします。必要な書類を揃えたのち、大使館に面接に行って、1、2ヶ月ほどしたらビザが貼られたパスポートが届きました。なぜか、面接に行ってから、実際にビザが届くまで、思った以上の時間がかかって、出発日の1週間ほど前にビザが届いて、ヒヤヒヤした記憶があります。聞いた話によると、専門分野が生物や化学の場合、background checkに時間がかかって、長く待たされることがあるようです。ビザの申請は余裕を持って早めに行った方がいいと思います。

F1 OPT

F1ビザは学生ビザであって、就労ビザではないので、このままだとアメリカで働くことができません。ですが、OPT(Optional Practical Training)というものを申請すれば、F1のままでもアメリカで働くことができます。期限としては、STEM (Science, Technology, Engineering, Math)の分野で学位を取った人は3年、それ以外の人は1年になります。申請は、各大学のOISS (Office of International Students and Scholars)が受け持ってくれるので、そこで必要な書類を記入して簡単に申請できました。

ただ、ここからビザの時限爆弾を抱えながらアメリカで生活していかなくてはいけなくなります。大学院生だったことは、とりあえず早く研究を終わらせて、卒業してやる!っていう意気込みでいたのですが、今思えば、学生ビザほど安心なビザはないなぁって思います。F1ビザには期限がなく、大学に所属してさえいればいいので、面倒なビザの申請を数年ごとにするという不安がありません。わざわざ急いで大学院を卒業するものでもないですね。

ちなみに、私は3年あるOPTのうち、最初の1年はポスドクに使い、残りの2年の間に、企業に就職、企業のサポートのもと、次のビザの申請をしてきました。

H-1B

ある程度大きな会社に就職すると、外国人で働いている人たちも多いので、会社が弁護士事務所と契約しており、その事務所の方がビザの申請を担当してくれます。私の場合、まずはH1Bを申請することにしました。これは、高度な専門知識を要する職業に就くためのビザで、比較的申請条件が緩く、学部卒であれば、誰でも申請できます。そのため、申請者数も多く、年に1回抽選が行われて、3分の1ほどしか当選しません。申請に必要な書類などは特になく、すべて弁護士の方がやってくれました。(ただし、現在、トランプ政権がこのビザに対する申請条件を厳しくしようとしており、年収が$150,000以上必要だという条件を付け加えようとしているようです。)ビザの有効期限は3年で、6年まで延長することができるようですが、結局これも時限爆弾ですね。

ちなみに、私の場合、OPT2年目にこちらを申請したのですが、見事に落選しました。こういう時に運がないのはなんとなく知っていたのですが、やっぱり少しショックでした。

O-1A

さて、OPTの期限切れが近づいてくるなか、続いて申請したのがO1です。こちらは日本語では卓越能力者ビザと呼ばれているようですね。(なんか怪しい名前…)日本では、アーティストビザとしての印象が強いみたいですが、アメリカでPhDを取得してから企業で働く外国人は大抵こちらのビザを申請している印象です。こちらのビザには企業のスポンサーが必要で、H1Bよりも申請条件が厳しく、集める必要のある書類が多くて、少し面倒でした。必要な書類については、担当の弁護士さんにちゃんと伺って欲しいのですが、私が覚えている限りでは以下のようなものでした。

  1. 5通の世界的に活躍していて名前の知られている教授からの推薦書。
    PhDの指導教官、ポスドク時代の指導教官、あとは私の書いた論文を引用してくれていた教授の方々に片っ端からメールを送って、推薦書を書いてくれるようにお願いしました。多くの場合、メールは無視されるそうです。私の場合、幸いメールを無視されることはなかったのですが、何度か、自分が直接知っている人でないと推薦状は書けませんと言ってお断りのメールをいただきました。結構メンタルを強くもって、断られたら、次!っていう気持ちでメールを送り続けるのが大事です。
    ちなみに、推薦書は、弁護士の方が書いてくれて、それを少し修正して、教授の方々に送って、サインをしてもらうだけです。
  2. 自分の書いた論文を引用してくれている文献を集める。
  3. 過去の論文の査読履歴。
    国際ジャーナルのレビューの経験があるのが評価されるようです。これは以前から聞いていたので、PhDの時の教官に査読を手伝わせてくださいとお願いして、いくつか査読を回していただきました。あとは、ジャーナルのeditorの方々にメールと自分の履歴書を送って、レビューさせてくださいとお願いしました。何名かのEditorの方からの返信が来て、それ以降、何度かレビューのお願いしをしてくれました。

こんな感じだった気がします。結構私は自己肯定感の低い人間なので、いかに自分がすごい人であるかを示さなくてはいけないこの過程が苦痛でしかありませんでしたが、自分を強くもってやりぬかなくてはいけませんね。私は無事、こちらのビザを得ることができて、現在はこれを使っています。

このO1ビザも3年の期限があり、結局はこれも時限爆弾です。3年のうちに次の手を考えなくてはいけません。

EB1-B (permanent)

さて、ついに永住権 (green card)の申請に手を出しました!永住権を得ることができれば、ようやく時限爆弾の不安から解き放たれます。私が現在準備しているのはEB1-Bというカテゴリーのものです。こちらも企業スポンサーのビザで、提出するのに必要な書類がO1とすごく似ています。O1の許可を得てからすぐにEB1-Bの申請をしているので、追加で先ほどの5名の教授の方々にupdated letterを送って、サインをしていただきました。こちらの過程はまた後ほど追記できればと思います。

とまぁ、こんな感じで、長く面倒なビザの旅でした。後半は企業の弁護士の方のサポートがあって、どうにか乗り越えてきましたが、これはすごく幸運な方だと思います。F1OPTの3年の期限の間に次のビザを見つけるのが難しく、帰国する場合が多いようです。アメリカ人と結婚してグリーンカードを取得しているケースもよくみます。こんな面倒な過程をすっ飛ばして、結婚してグリーンカードを取れればどんなに楽だろう…笑

コメント

タイトルとURLをコピーしました